【読書感想】世界倒産図鑑

今回は、過去の有名企業が倒産に至ってしまった事例を親しみやすく、そして分かりやすくまとめられた本である『世界倒産図鑑』という本を紹介します。

本書の著者は荒木博行氏という方で、株式会社学びデザインの代表取締役社長を務めたり、ビジネススクールで経営戦略の授業などを担当されているそうです。

本書内の冒頭にも書かれていますが、ビジネススクール内で実際の企業事例を活用しながら学んでいく際に用いられるのは基本的に成功事例ばかりとなっており、逆に失敗事例が取り上げられる事は滅多に無いと言います。

しかし、失敗事例から学べる経営上の問題点も必ずあるはずで、それを無視してしまう事は学習機会の損失になり、再び同じ問題が繰り返されるとも限らなくなります。

また、本書内で「売上増は七難隠す」という言葉で表現されている通り、本当は経営上の問題を生み出す原因を抱えているのに、たまたま好景気による追い風などの要因で業績が上がってしまうと、経営上の問題を生み出す原因を解決しようというインセンティブは働かなくなってしまいます。

そして、本来的に抱えている問題が解決されないままで不景気を迎えて業績不振になると、その後に待っているのは倒産という最悪の終わり方。

本書は、実際の過去の国内外企業25社を例に取り上げて、「経営戦略に問題があったケース」「マネジメントに問題があったケース」の2種類に大別して当事者目線で分析し、そういった過去に問題があり倒産してしまった企業を反面教師にして何を学ぶべきなのか、という事が解説されています。

読書感想

本書に出てくる企業の事例は「そごう」や「NOVA」、「スカイマーク」といった馴染みのある国内企業から、「ポラロイド」や「トイザラス」、「ゼネラルモータース」、「ウェスチングハウス」といった有名な海外企業に至るまで、様々な事例が豊富に、そして簡潔に分かりやすく紹介されていました。

経営に関する本は文体が堅かったり、ある程度の専門知識が無いと理解できず読んでて辛くなる本もあるのですが、本書に関しては特に前知識などが無くてもスルスルと頭に入ってくるくらい、平易で親しみやすいように書かれている印象でした。

株式投資に役立つかという目線で見ると、経営に関する勉強は必ずしも株式投資のリターンに結びつく訳では無いのですが、中長期で保有しようと考えている銘柄ならば経営上の問題が無いのか確認する事は必須と考えますので、特に「倒産」という最悪の事例に着目して学べる本書は多くの方にオススメ出来ます。

それでは、また~👋

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