【読書感想】臆病者のための株入門
今回は、自分が株式投資を始める前に初めて読んだ投資関連の本『臆病者のための株入門』を久々に読み返したため、感想がてらに紹介します。
本書は経済動向、政治、社会情勢に鋭い分析を行う事で著名な作家『橘玲(たちばな あきら)』氏が 2006年に書かれた本であり、年月が経っても変わらない、投資に向き合う際の普遍的な姿勢を学ぶことが出来る良書です。
橘玲氏の著書にはより有名な『黄金の羽根の拾い方』もありますが、あちらは株式投資以外のテーマも含めたマクロな事柄について書かれているのに対し、本書は株式投資というテーマに絞って書かれているため、株式投資に関して集中的に勉強したいという方には本書がおすすめです。
株式投資はギャンブル
本書が秀逸だと思う点は、本書は冒頭の部分で「株式投資は偶然性に左右されるゲーム、つまりギャンブルである」とはっきり述べてくれる点だと思います。
本書はタイトルの通り、ギャンブルに自ら手は出さないような"臆病者" を読者に想定していると思われるため、株式投資はギャンブルだと冒頭から述べてくれるのはとても親切ですね。
しかし、筆者は上記に続けて「そもそも不確実性を含んだ世の中を生きる事、つまり人生そのものは本質的にギャンブルである。数多あるギャンブルの中でも、株式投資は素人でもまだ勝てる見込みのあるギャンブルである」という事を述べています。
株式投資が偶然性に左右されるゲームならば、いわゆる “投資のプロ" が出す結果と素人が出す結果は長期で見て同じものに収斂するはず。そういう意味で、株式投資は(理屈の上では)素人でも良い結果が出せる可能性があるためギャンブルとして魅力的という訳ですね。
ど素人のための投資法
では、現実に全くの素人が “投資のプロ" を上回る結果を出せているかというと、短期間のトレードにおいては株式市場の参加者の思惑や心理、情報入手の機会の差が強く影響するため、それらを読むのに長けたプレーヤー(投資のプロ)とそうでないプレーヤー(素人)の間にはトレード結果に差が生じているのが現実です。
そもそも、短期間のトレードは市場の参加者の間でお金を奪い合うゼロサムゲームとなるため、容赦の無い非常に厳しい弱肉強食の世界となりがちです。
では、ど素人が株式投資という魅力的なギャンブルにおいて比較的良好な結果を出すためにはどうしたらよいのか。
それには個別銘柄の選定をどうするかといったような細かい戦術レベルの話ではなく、どこに資産を投じるかのアセットアロケーションの考え方が大事になってきます。
その際、経済学的に一番正しいのは全世界の資産と同じ配分となるポートフォリオを持ち、全世界の経済成長と連動するような投資方法 (≒全世界へのインデックス投資) と言えます。
若い人にとって最大の資産は自分自身
本書を初めて読んだ際に特に一番はっとさせられるのは、本書は株式投資の入門書風の本でありながら、株式投資は「十分な金融資産を築いた、人生後半に差し掛かった大人のためのゲーム」と、株式投資に取り組む対象の人は選別される事をはっきり述べてくれる点です。(親切!)
世の中の資産運用系の本においてあまり触れられる事はありませんが、若い人にとっての最大の資産は金融資産などではなく、働いてお金を稼ぐ事ができる自分自身こそが最大の資産となります。
本書には、サラリーマンとして働いて定期収入を得ることを、定期的に利息が得られる債券への投資へ例える考え方が紹介されています。
仮に30年働いて給与を得る前提であれば、この “サラリーマン債券" こそが若い人の資産の中で一番大きな存在となるのは間違いありません。
したがって、若い人が意識して一番に投資する対象は金融資産では無く自分自身であることを常に忘れないようにしたいですね。
数年ぶりに読み返して、改めて投資に対する姿勢や向き合い方を見直す事ができる良書でした。
それでは、また~👋