【読書感想】メルカリ 希代のスタートアップ、野心と焦りと挑戦の5年間
今回は、いまやフリマアプリ市場のトップランナーとなり時価総額1兆円を超える企業となったメルカリの、創業以前から現在までに至る軌跡について書かれた本の感想記事です。
本書の著者は日経新聞の編集委員である奥平和行氏によって書かれ、ちょうどメルカリが東証マザーズへ新規上場した 2018年に合わせて発売された本となります。
本書は3人の創業者である山田進太郎氏、富島寛氏、石塚亮氏の動向について著者の第3者目線の形で書かれており、悪く言えば淡々と、良く言えば感情移入しすぎない冷静な視点で書かれているため、熱い創業秘話となりがちなスタートアップ界隈の話にしては落ち着いた雰囲気となっており、なぜメルカリがここまで大きくなれたのかを読者が想像しながら読み進める事ができるようになっています。
私は普段メルカリは日常的に利用しているものの、その会社がどのような経緯を経て現在のような形になったのかに関してはまるで知らなかったため、楽しく読む事ができました。
面白かったポイントは以下。
①先行するライバル会社『フリル』の創業の話が載っていること
本書はメルカリの創業に関する話ではありますが、メルカリの創業以前に既に先行して創業されていたフリマアプリ『フリル』に関する話が載っており、メルカリと対比するような形で書かれています。
フリマアプリというカテゴリーは実はメルカリ以前から存在し、現在サービス終了しているものまで含めると今までに10以上のサービスが展開されていたようです。
メルカリはその中でも後発組で、先行するライバル達についていくためにもがき苦しんだ末、やがて逆転していく様子が読みどころです。
②米国市場への挑戦
メルカリは現在日本向け以外にも平行して米国市場にも参入していますが、米国市場は2014年から開始しています。
創業者の山田進太郎氏は以前から米国市場へ挑戦して米国から世界を変えるようなサービスを開発するのが夢だったそうで、本体の日本向け事業が成長途中の段階にも関わらず、米国市場への挑戦を開始していたことが書かれています。
日本とは文化が違う米国では最初の滑り出しにかなり苦戦したようで、そこに対処するためのプロダクト全体の大胆な改修と組織体制の改正に関する話は、成長に伴い自己改革していく事の大切さが読み取れます。
本書はメルカリという事業が大きくなっていくにつれて、新事業である決済事業(メルペイ)への乗り出しへ進めた所で終わっています。
メルカリはフリマアプリという特性上、事業が大きく成長していくに伴いモラルの低い利用をするユーザーが表れたり行政からの監視も強まってきていますが、それらの困難を乗り切り成長を続けていく様は日本のスタートアップ界にとっての希望ですね。
それでは、また~👋