S&P500指数の高配当銘柄へ投資できるETF、”SPYD”について【米国株ETF】

今回は、米国のS&P500指数に含まれる高配当銘柄へ一括で投資できる米国株ETF、“SPYD" について書いた記事となります。

SPYD も以前紹介した VYMHDV と同様に、低コスト、かつお手軽に米国の高配当銘柄へ投資できるという特徴を持った ETF となります。

今や ETF は世の中に無数にありますが、債券/REIT/先物取引ではなくシンプルに米国の高配当株式へ分散投資できる ETF は現在この3つが代表的なものになりますので、VYM/HDV/SPYD の3つを押さえておけば高配当系は十分と個人的には思います。

SPYD とは

SPYD とは、BlackRock や Vanguard に次ぐ規模の米国の資産運用会社である State Street が提供している ETF (上場投資信託) となります。従って、VYM や HDV と同様に米国の株式市場がオープンしている時間帯でリアルタイムでの売買が可能です。

このETFは、低い経費率はもちろんの事、S&P500指数に含まれる銘柄から配当利回りが高い上位80銘柄へ均等に分散投資できるという点が特徴となります。

連動元の指数について

SPYD は原則として “The S&P 500 High Dividend Index" という指数に連動するように運用がされています。

この指数はその名称が示すとおり米国のS&P500指数に含まれる銘柄のみを対象にしており、以下のようなルールで運用されています。

①:対象銘柄はS&P500に含まれる銘柄のみ
②:①の対象銘柄から、主に予想配当利回りが高い順になるように80銘柄を選定
③:②で選定した銘柄で、各銘柄の組入比率が均等になるように調整 (すなわち1銘柄は約1.25%の比率が目安)
④:構成銘柄は年2回見直し
(引用元:"Methodology (PDF)" より要約)

この指数はある意味で、VYM や HDV の連動元の指数と比べてシンプルで理解しやすいですね。

予想配当利回りが高い銘柄というのは業績が落ち目で継続が危うい企業も往々にしてあるのですが、対象銘柄を S&P500 の構成銘柄のみに絞っている事で極端に危うい銘柄は事前に除外できているという一定の安心感があります。

組入比率を均等にするのも、特定の企業への偏りを避けてシステマチックに分散する効果があるため VYM や HDV ともまた異なったリターンとなる事が期待できますね。

過去の配当金の水準

過去の配当金と配当利回りの水準は以下のようになっています。

1株あたりの年間合計配当金と、各年の年初始値株価ベースの税引前配当利回り

SPYD の配当金は年4回(3月/6月/9月/12月)に分けて分配されますが、上記グラフは年間合計分を表示しています。

過去の推移を見ると、配当金の支払い額は変動がありつつも基本的に横ばいの状態で推移しているのが分かります。

配当利回りについては VYM と HDV と比べて一番高い傾向にあり、株価の値動きによっては税引き前で 5% 以上の配当利回りを狙えそうですね。

S&P500 ETF (SPY) と比較してみる

比較用に、S&P500指数に連動するETF (SPY) と比較をしてみます。(SPY は State Street 社提供の S&P500連動ETF)

SPYDSPY (参考)
構成銘柄数80500
経費率0.07%0.0945%
純資産高62億ドル3,986億ドル
年率平均トータルリターン(5年)8.44%15.08%
標準偏差(5年)20.01%15.71%
過去最大の株価暴落率(コロナショック時)-36.96%-31.14%
直近の配当利回り(税引前)3.62%1.31%
(注) 2022年3月中旬時点の公開情報ベース。情報元: Morningstar.com 他

経費率は 0.07% と、他の高配当株ETF と同程度で十分低コストです。SPY と比べて安いのは、SPY はS&P500系連動系ETFとしては最古参の部類なので、現在までの手数料引き下げ競争の結果で逆転現象が起こっているためですね。

気になるのはリターンに比してリスク(標準偏差)が大きい点です。VYM や HDV が S&P500指数と同程度のリスクだったのに対して SPYD はリスクが大きく、値動きが大きめの ETF であるという事が推察されます。(それだけ、タイミング投資が上手くいけば高い配当利回りを得られるという事の裏返しですが)

過去最大の株価暴落率も S&P500指数と比べてやや大きめです。

構成銘柄を比較

以下、それぞれのETFの上位構成銘柄となります。

SPYDは基本的に全ての銘柄が均等に組み入れられますが、組入後の株価変動で銘柄の比率に若干の偏りが生じています。記事作成時点では、SPYD の上位組入銘柄はベーカーヒューズという石油採掘関連の機材販売の会社や、石油採掘のシェブロンが上位に来ています。

引用元:State Street の ETF紹介ページより

SPYD は税制面でデメリットあり

VYM/HDV と同様に、配当金の受け取りの際には税制面のデメリットがあります。

(条件は同じなので詳細は以前の VYM の記事を参照ください。)

S&P500の高配当銘柄に分散投資できるETF

以上、VYM/HDV に続いて人気が高く、比較的新しめの米国高配当ETF SPYD の概要について書いてみました。

VYM や HDV と比べると配当利回りが高い分ややリスクが高いため投資タイミングを計る難しさがありますが、上手く安値で仕込めれば高い配当利回りを享受できる点が魅力ですね。(私のポートフォリオでも、コロナショック後に多めに買った SPYD からの配当金がドル配当収入の中心になっています。)

以上、読んで頂いた方の参考に少しでもなっていれば幸いです。

それでは、また~👋

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