気になるニュースまとめ【23/11/6】
興味を引いた最近のニュースを要約してまとめています。
目次
日本株優勢の流れはピークを過ぎたのか
- 日本株は今年、中国株を大幅に上回る成績を収めているが、その動向が変わるかもしれないという見方が一部の投資家から出ている。
- 世界の成長悪化や日本銀行への金融政策引き締め要求などにより、日本株にとっての逆風は強まりつつある。
- 一方で、中国株は景気・株式市場浮揚策が奏功し、バリュエーションが記録的に低下したことから、投資家の楽観論が高まってきている。
- 東京証券取引所株価インデックス(TOPIX)は今年23%急上昇し、10年間で最高のパフォーマンスを示している。一方、中国のCSI300指数は7.4%下落している。
- 一部の専門家は、日本株がピークに達した可能性を示す兆候を指摘し、グローバルファンドから大量の日本株へのポジショニングが行われていることもリスクとして挙げている。
過度なインフレはEV需要にブレーキへ
- 金利の上昇とインフレの影響で消費者の自動車購入が難しくなり、電気自動車(EV)の需要見通しが弱まっている。このため、テスラなどはこれまで投資拡大を進めてきたEV事業の見直しを迫られている。
- 一部の自動車メーカーは、北米でEVへの投資を約14兆9400億円にまで増やす意向を示していたが、カーショッピングが難しくなっている現状を受け、その見通しを再評価せざるを得ない状況となっている。
- フォードとゼネラル・モーターズ(GM)が発表した車種の価格を見ても、ガソリン車に比べてEVの価格は非常に高い。このため、消費者側からの需要が十分に生まれない可能性がある。
- テスラのイーロン・マスクCEOは、メキシコでの10億ドル規模の工場新設計画の見送りを示唆した。また、昨年の50%の成長ペースを誇示していたが、その見通しも変わりつつある。
- GMとフォードもそれぞれ生産計画の延期を発表しており、特にフォードはEV関連の投資計画の80%にあたる120億ドルの投資を延期すると発表している。これらの動きから、EV市場への全体的な見通しの悪化がうかがえる。
価格上昇を続ける米住宅市場
- 米住宅市場の価格上昇・在庫減少が続いており、住宅取得能力が危機的な状況にある。その要因は建設不振・学生ローン・初期購買者向け住宅の買い占め等が含まれる。新型コロナウィルスのパンデミックによって住宅価格の急激な上昇にも関わらず、低金利の住宅ローンが買い手を引きつけていた。しかし現在は新たな住宅取得能力の危機に対する明確な対策が見えていない。
- 30年固定の住宅ローン金利は近年最高の8%にまで上昇し、例えば40万ドルのローンの月々の支払いは1,100ドルほど増加。対象を供給に及ぼす影響は更に大きい。割安な住宅ローンを手放しにくい"ロックイン効果"のため、住宅市場は1980年代以来最も値ごちゃ満々化しており販売が減少している。
- また、住宅建設業者は労働力・土地・建材等の供給問題に直面している。民泊仲介業者のCEOは「持てる対策は尽きつつあり、この状況の打開には時間がかかる」と述べ、若い世代が近い将来に家を購えないことは社会構造にひずみをもたらすと警告している。
- ロックイン効果でローンを抱え続ける世帯が増え、新たな住宅を購入することが困難となり、引っ越しの誘因が減少している。このロックイン効果は特に初めての住宅購入者に大きな影響を与え、富を築くチャンスを逃すことになる。また、より大きな家に移住や家族の拡大が阻害され、労働市場の移動性や効率が低下する可能性がある。
- 一方で、政策対応は購入者の便宜を図る方向に進められており、競争激化により在庫減少という問題をさらに悪化させている。
キャノンが狙う安価な半導体露光装置サプライヤーの立ち位置
- キャノンの御手洗冨士夫会長は、同社が2025年に売上目標4兆5000億円、営業利益率12%を達成するためには、プリンターや事務機、カメラといった主力事業だけではなく、多様化した事業ポートフォリオが必要との見解を示しました。
- また、御手洗会長は10月に発売した半導体露光装置のナノ・インプリント技術の価格が、現在オランダのASMLが独占しているEUV装置よりも大幅に安価であることを指摘しました。
- 当該製品はウエハー上のレジストに回路パターンを刻み込んだ後、ハンコのように押し付けることで1回で回路を形成するという方式を採用しており、製造コストや消費電力の削減にも寄与するとのことです。
- 御手洗会長は、これまで高価なEUV装置の購入が難しかったメーカーから新たな需要が生じると推測しましたが、同時に「ASMLをひっくり返そうという大きなことは考えていない」との見解も示しました。
- 今後の事業展開については、年間12%以上の成長率(CAGR)を2025年までに達成することを目指しています。
品薄な日本ウイスキーは2027年から供給増の計画
- サントリーの鳥井信宏社長は、人気が高まり品薄傾向となっている同社のプレミアムウイスキーの供給増について、2027年頃になる可能性があると語った。これは製品の熟成に時間がかかるためで、鳥井社長は「27年くらいにもう少し量が出るかもしれない」と予想した。
- サントリーは今年、ウイスキー作りの100周年を迎え、2年かけて100億円を投じて国内のモルトウイスキーの2大生産拠点である山崎蒸溜所と白州蒸溜所の改修に着手した。その一環として、電気式加熱が可能な蒸留釜も試験的に導入し、古くからの手法を取り入れる一方で、品質で妥協しない姿勢を強調した。
- プレミアムウイスキーの高級化は一部で転売問題を引き起こしており、最も熟成年数が長い「山崎55年」が発売時の価格の数十倍の値段で取引される事態まで発生している。このため、供給力の増強が急務である。
- 鳥井社長は、米国ビームの買収などを通じて、さらなる品質改善と国際評価の高まりを見込んでおり、今後の展望については楽観的だ。
- 一方、国内ではクラフトウイスキーメーカーの増加や泡盛や日本酒のメーカーによるウイスキー作りの進出などから、製造免許場は10年前と比べ5倍以上増加し、品質保証が課題となっている。鳥井社長はこれに対し、業界として更なる努力が必要とされており、日本ウィスキーの定義を法律で明示した方が良いとの考えを示した。