決算書の読み解き方⑩【キャッシュフロー計算書】

今回は、前回説明したキャッシュフロー計算書(C/F)から、企業が現在どのような段階(成長/安定/再構築)にあるのかを読み取る方法について説明してみます。

キャッシュフロー計算書はB/SやP/Lよりも、更にダイレクトに企業が置かれている状態が汲み取れるようになるため、難易度の高い高配当株投資を行う際には見ることをおすすめします😄

キャッシュフローと企業の状態の関係

C/F計算書から、大まかに分けて以下の3種類に企業の状態を分類する事ができます。

  • 成長ステージ
  • 安定ステージ
  • 再構築ステージ

成長ステージ

成長ステージにある企業のC/F計算書は、「営業活動によるC/F」がプラスに年々増えていく一方で、更なる事業の成長や拡大のために大きな投資も必要になるため、「投資活動によるC/F」が大きなマイナスとなる傾向があります。

そしてその結果、「営業活動によるC/F」「投資活動によるC/F」を穴埋めする事ができず、銀行から借り入れを行ったり、新規株式を発行して市場からお金を調達するため「財務活動によるC/F」がプラスになる傾向になります。

したがって、成長ステージにある企業は「営業活動によるC/F」はプラス、「投資活動によるC/F」は大きなマイナス、「財務活動によるC/F」はプラス、となる傾向になります。

安定ステージ

安定ステージにある企業のC/F計算書は、事業で順調に稼げるようになってくるため「営業活動によるC/F」が大きなプラスとなります。

「投資活動によるC/F」は企業が今後どのようなビジョンを描いているのかにもよりますが、ある程度成長しきった企業は投資に回すお金が減っていくため「投資活動によるC/F」は小さめのマイナスとなります。

上記のような状態となると、企業は順調に稼いでいるが成長のための投資にお金を回さなくなりキャッシュが余ってくる事から、銀行からの借り入れを返済したり、株主へ還元する目的で配当金を配るため「財務活動によるC/F」はマイナスとなるパターンが多くなります。

したがって、安定ステージにある企業は「営業活動によるC/F」は大きなプラス、「投資活動によるC/F」は小さめのマイナス、「財務活動によるC/F」はマイナス、となる傾向にあります。

再構築ステージ

再構築ステージとは、つまるところ事業環境が悪化してきて経営が苦しくなっている段階と言えます。

この状態にある企業は経営の悪化が続くとそのまま倒産してしまう可能性が出てくるので、私のような長期投資スタイルの人間は一般的に避けるべき銘柄となるので注意が必要です😰

再構築ステージにある企業のC/F計算書は、「営業活動によるC/F」は小さめのプラス(もしくはマイナス)の状態となります。

また辛い時期をしのぐために手元にキャッシュを蓄えるため、不要な事業や設備を売却する事で「投資活動によるC/F」がプラスとなる傾向が出てきます。

更には、このような状態にある企業は既に大きな負債を抱えている場合も往々にしてあるため、銀行への返済が増えることで「財務活動によるC/F」が大きなマイナスとなります。

したがって、再構築ステージにある企業は「営業活動によるC/F」は小さめのプラス or マイナス、「投資活動によるC/F」はプラス、「財務活動によるC/F」は大きめのマイナス、となる傾向にあります。

C/F計算書と企業の状態まとめ

以上をまとめると、C/F計算書と企業の状態は以下のようになります。

横列で見ると、企業のステージが成長→安定→再構築と進むにつれて、それぞれのキャッシュフローの項目がどのように推移していくのかがイメージしやすくなると思います。

成長ステージ安定ステージ再構築ステージ
営業活動からのC/Fプラス大きなプラス小さなプラス or マイナス
投資活動からのC/F大きなマイナス小さなマイナスプラス
財務活動からのC/Fプラスマイナス大きなマイナス

まとめ

以上、今回はキャッシュフロー計算書(C/F)から読み解く企業の状態について説明をしてみました。

この見方に慣れてくると、四季報などを見ていく際にもひと目で企業が現在どのような状態にあるのか容易に想像できるようになってくるので、個別株に長期投資を行おうとしている方は目を通すようにする事をおすすめします😄

それでは、また〜👋

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