主要なインデックス投資系のETFを比較してみる【VT, VTI, VOO】

今回は、前回書いたインデックス系の投資信託と並んで近年主流となりつつある ETF を比較してみました。

投資信託での積み立てだけでなく、ETFでの投資にも興味がある、という方向けの記事となります。

比較するETF

今回比較する ETF は VT、VTI、VOO の3種類となります。

いずれも世界最大規模の米国の資産運用会社 Vanguard が提供している ETF で、近年は日本でも楽天証券SBI証券などのネット証券会社が取り扱っている事から気軽に購入可能です。

それぞれ VT ⇒ 全世界、VTI ⇒ 全米、VOO ⇒ S&P500 (米国500社) の株式指数に連動するように対応しており、株式指数に組み込まれた上場企業の時価総額に連動する仕組みとなっています。

VTVTIVOO
投資先の概要全世界全米S&P500
経費率0.08%0.03%0.03%
(注) 2022年1月時点の公開情報ベース。情報元: Morningstar.com

これらの ETF が前回取り上げた類似のインデックス系の投資信託と比べて優れている点は、「経費率の圧倒的安さ」「自分の好きなタイミングを狙って売買が出来る」の 2点となります。

「経費率の安さ」については、同じものに投資する投資信託の経費率が最安でも 0.1%以上である事を考えると、 ETF の安さが際立ちますね。

注意点としては、上記ETFは米国ドルでの売買のみなので日本円から米国ドルへの為替手数料が別途掛かる事と、証券会社によっては売買時にも別途手数料が掛かる事です。(といっても、最近は楽天証券SBI証券も買付時の手数料は無料に設定されていますね。売却時はどちらも約定代金の 0.495% が掛かります。)

最近は投資信託の手数料はかなり安くなってきていますので、手数料まで含めたトータルで掛かる費用で見るならば、ETF と投資信託はあまり大きな差が付きにくくなっているのが現状です。

一方、「自分の好きなタイミングを狙って売買が出来る」については、投資信託には無い明確なメリットになりますね。

投資信託は売買注文を出してから約定までに数日間のズレが生じるため思った価格で売買できない可能性がある一方、ETF は個別株と同じように株式市場が開いている間はリアルタイムで売買が可能なので、自分が狙ったタイミングで売買のコントロールが可能になります。

以上から、「経費率の安さ」についてはETF と投資信託はトータルで掛かる手数料で見れば現状ではあまり大きな差は付かない一方、「自分の好きなタイミングを狙って売買が出来る」という特徴を持ったETFは、例えば株価が大きく下落したタイミングに、狙った価格でまとまった資金を一気に投入したいという状況等で活用するのが良さそうですね。

しかしながら、タイミングを狙って資金を投入するのはどうしてもギャンブル的な要素が大きくなってきますので、そうではなく資産形成のために毎月コツコツと定期買付したいというような場合には、楽天やSBIなどのお得なポイントバックキャンペーンをやっている証券会社で投資信託を買っていく方が現状の最適解と言えるでしょう。

各ETFの連動する指数&純資産高

それぞれのETFの純資産高と連動する指数は以下となります。

VTVTIVOO
投資先の概要全世界全米S&P500
連動する指数 FTSE Global All Cap Index CRSP US Total Market Index S&P 500 Index
純資産高336億ドル1.3兆ドル8,272億ドル
(注) 2022年1月時点の公開情報ベース。情報元: Morningstar.com

いずれのETFも相当大きな純資産高がありますが、こうして比べてみると、VTI と VOO の米国へ投資する ETF の純資産高が抜きんでて大きいですね。

日本のGDPが5兆ドルくらいと考えると、VTI の 1.3兆ドルの存在感は圧倒的です。

いずれのETFも、個人が心配するような箇所はありません。

連動する各指数の特徴については以下です。

  • FTSE Global All Cap Index:全世界の株式会社の時価総額の大きさ順に連動する指数。現時点では米国の株式会社の比率が最も大きく6割以上を米国が占めている。
  • CRSP US Total Market Index:米国の株式会社の時価総額の大きさ順に連動する指数。米国の株式会社全部を含む。
  • S&P 500 Index:米国の信用格付け会社 Standard & Poor’s (の子会社) が選んだ米国の優良企業500社の、時価総額の大きさ順に連動する指数。

各ETFのトータルリターン&リスクの比較

過去5年間における平均トータルリターンとリスク(標準偏差)は以下のようになっています。

VTVTIVOO
投資先の概要全世界全米S&P500
年率平均トータルリターン(5年)13.66%17.04%17.58%
標準偏差(5年)15.15%15.94%15.39%
配当利回り(税引前)1.82%1.21%1.25%
(注) 2022年1月時点の公開情報ベース。情報元: Morningstar.com

過去5年の範囲で見ると、Google, Apple, Facebook, Amazon, Microsoft を筆頭とする米国の情報技術セクターが群を抜いて成長した時期でもあるため、米国のみに投資する VTI と VOO の平均のトータルリターンが VT と比べて大きくなっていますね。

VT に関しては米国以外の国の成長を取り込めるのが良いところですが、これまでにおいては米国一強の時代だったので VTI, VOO と比べてリターンは劣っている状況です。

今後米国を上回る可能性があるとすれば中国もしくはインドが有望ですが、どちらも政治方面の理由で外国からの投資には不安がある事、経済成長しても株式市場にそれが反映されるかが不透明な事から、まだまだ米国一強の時代が続く可能性が高いと想定しています。

配当は VT, VTI, VOO どれも一応でますが、あまり大きな利回りでは無いのでおまけ程度の立ち位置になりますね。

最後に、2017年-2021年(過去)における配当込みトータルリターンの比較を載せます。

 VT(全世界, 青線)、VTI(全米, 赤線)、VOO(S&P500, 黄線)

2017年の初めに $10,000 を一括投資した場合、2021年の終わりでの資産額は以下となっていますね。

今後も米国一強の時代が続くのかは誰にも分かりませんが、これらの ETFをうまく活用すれば今後も資産形成の大きな助けになる可能性は高いので、読んで頂いた方の参考になれば幸いです。

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