決算書の読み解き方⑦【EPSとPER】
今回は損益計算書(P/L)から求められた純利益を用いて、個別株投資における重要指標 EPS と PER について解説します。
本記事は決算書の読み解き方シリーズの続きなので、まだ読まれていない方はそちらを先に参照頂けると幸いです😊
なお、今回も2019年末の資生堂の決算書をサンプルとして用いる事にします。
EPSとは、純利益を発行済み株式の数で割る事で求められる、1株あたりの純利益の事を指しています。
EPS = 純利益 / 期中平均発行済み株式の数 (自己株式を除く)
前回記事の損益計算書で解説してきた通り、会社の手元に最後に残った純利益は株主のものであり、また株式は株主の権利をもっていることの証明書のようなものです。
したがって"1株あたりの純利益"を表すEPSは“1株あたりの本来の資産価値"というように解釈することができます。
個別株式への投資という行為は、"株式"という形の資産に投資し、キャピタルゲインにしろインカムゲインにしろ"株式の資産価値"が増大する事により利益を得ることを目的とした行為です。
そんなわけなので、株主にとっては “1株あたりの本来の資産価値" を表す EPS は必ず見るべき重要指標という事になり、EPS が年々上がっていくような企業の株式は年を追うごとに株価も上がっていく、というのが基本的な考え方となります。
資生堂を例に挙げると、2019年末の純利益(この場合、親会社株主に属する方を見ます)が 73,562 M¥ (735億62百万円)、期中平均発行済み株式数(自己株式を除く)が399,411,340株なので、EPS は約184.18円 となります。
PER(Price Earnings Ratio)
PERとは、先程算出した株価をEPSで割ることで得られる指標であり、この企業の収益性を市場がどう評価しているのかを表す指標となっています。
PER = 株価 / EPS
「1株あたりの純利益 = 株式の本来の価値」と定義するならば、PER とは「EPS に対する投資家の期待の大きさ」を表す指標と考えることができます。
…より分かりやすいようにしましょう😅
上記の PER の計算式を変形すると 株価 = EPS x PER となります。
このように、株の本来の価値 (EPS) に対してどれだけ掛け算(PER)した値が株価となっているのか?というように読みかえると直感的に理解しやすいかと思います。
((具体例))
仮に全く同じ EPS = 100円 のA社とB社という企業があった場合、A社の株価が 2,000円、B社の株価が 1,000 円だったとします。
この場合、A社のPER = 20倍、B社のPER =10倍という事になるので、世の中の投資家は A社に対してより大きな将来の成長を期待している、という事になります。
サンプルの資生堂の場合、2019年末の決算が発表された2020年2月の株価が約7,130円だったので、7,130円 / 184.18円(EPS) = 38.71倍という事になります。
以下は参考に挙げた日経平均株価の平均PER のチャートですが、2013年頃から2019年末までの平均PERがおよそ 12~16倍くらい(緑の線)を推移していた事を踏まえると、資生堂の38.71倍はその当時かなり高く評価されていたという事が分かりますね😌
このように、PER が意味する事が理解できれば、「この企業は一体どの程度世の中の投資家から期待されているんだろう?🤔」という事が数字で分かるようになります。
個別銘柄における株式投資の基本は、将来的に業績(EPS)と市場評価(PER)が上がると予想される銘柄へ投資する事と考えますので、EPSとPERがいかに重要な指標であるという事が伝わっていましたら幸いです✨
EPS と 株価の関係
先に述べた通り、EPSと株価は一般的には高い相関があることが知られています。
株価 = EPS x PER なので、EPS が上がる⬆️ならば株価も上がる⬆️だろうというのはシンプルで分かりやすい関係と言えますね。
参考に、サンプルとして取り上げた資生堂のEPS/PER/株価チャートを以下に張ってみます。
EPS と PER の表、および株価チャートを見比べると以下の事が分かります。
- 2015年-2017年と比べて EPS が大きく上がった 2018年末にかけて、株価が大きく上昇。
- PERは 2018年のEPSの大きな上昇を"事前に見越していた"かのように、2017年末にかけて 95.63倍と高水準に到達。
2018年と2019年は資生堂は過去最高益を2年連続で更新した時でもあり、投資家はそれを事前に期待して株を買っていたために、2017年末には高い水準のPERとなっていた事が想像できますね。
まとめ
以上、EPS と PER について自分なりの理解で書いてみました。
投資しようと思っている個別銘柄があれば、EPSとPERの推移と株価チャートとを照らし合わせてみると、今の株価が割高なのか、割安なのかを判断する指標にもなりますので是非チェックしてみてください😆
EPS = 純利益 / 期中平均発行済み株式の数 (自己株式を除く)
株価 = EPS x PER
以上、今回の記事が読んでいただいた方の参考になれば幸いです✨
それではまた〜。