株式の β(ベータ)とは?【市場に対する株価の感応度】

2023年12月29日

今回は久々に理論の話となります。

私は個別株投資を行う際には基本的に、その企業の財務状態とどのような商売をしているかを調べてから投資判断する、まあよくある一般的な手法で行うようにしています。

そうすると必然的に自分が推定した企業価値よりも株価が安くなるタイミングまでひたすら待つ、という戦略をとる事になりますが、いざ実際にそのように各銘柄の株価を見てみると、株価が日々激しく動く銘柄もあれば株価があまり動かない銘柄もあるという事に気づきます。

いざ思い切って投資した銘柄の株価が激しく動くのを見ると、同様して狼狽売りする原因となったりしてよろしくありませんね。

では、もし事前に銘柄の値動きの性質を把握する事ができたなら…? 今回はそれを数値化して把握するための内容になります。

株価の値動きの幅は銘柄によって異なる?

株式市場を日々見ていると、株式の値動きは銘柄ごとに幅が異なるようにある事が直感的に分かります。

例えば、食料品事業を営むA社の株価は日々の値動きが小さいのに対して、機械の製造販売事業を営むB社の株価は日々大きく変動する事などは日常茶飯事ですね。

一般的には、銘柄毎の値動きの差は特定の株価指数への組み入れ比率の差だったり、浮動株の多寡、単にその銘柄の注目度が低く売買している投資家が少ない…等々、様々な要因が考えられます。

今回はそれらの影響の考慮はひとまず置いておいて、シンプルに株価がどのくらい動く傾向にあるかを数値化する手法となります。

株式の β(ベータ)とは?

株式の値動きの幅がどの程度なのかを推測するには、株式の「 β (ベータ) 」という概念が役に立ちます。β の定義は以下。

株式の β (ベータ)

市場全体と同じ構成のポートフォリオの値動きに対して、特定の銘柄の株価がどの程度動くかを表す指標。数学的には、過去の一定期間の市場全体ポートフォリオのリターンと特定銘柄の株価のリターンの分布に対して、最小二乗法で引いた回帰直線(1次方程式)の係数の値を指す。

別名で「市場感応度」とも呼ばれる。

数学的な説明を言葉ですると難解な字面になりますが😓、要は日本株で言えば TOPIX などの株価指数の値動きに対して、特定銘柄が過去にどのような値動きをしたかを簡単に統計的に表したもの、という事ですね。

例えば、TOPIX とトヨタ自動車の過去5年月次リターンの分布を図にしてみると、以下のようになります。

横軸: TOPIX の月次リターン分布、縦軸: トヨタ自動車の月次リターン分布

上記の分布に最小二乗法の回帰直線を引くと、以下のようになります。

薄赤色の範囲は95%信頼区間

上記の赤で示した回帰直線の係数は 0.77 なので、すなわちトヨタ自動車の株式の β は 0.77。言い換えるとトヨタ自動車の株価は日本の株式市場全体の動きに対して 0.77倍の動きをする傾向にある、という事が分かりましたね。

β を知ると、値動きの幅の傾向を推測できる

以上、株式の値動きを把握するのに役立つ β (ベータ) という概念について紹介してみました。

β (ベータ) は自分で調べることも出来ますが、ロイターや日経新聞のサイトにも記載されているので、個別銘柄へ投資する際に株価の値動きの幅を推測するのに用いてみるのも良さそうですね。

またβ (ベータ) は、CAPM(キャップエム)などの理論にも用いられる概念なので、もっと詳しく理論的な事を知りたい際の基礎としても役に立つと思います。

それでは、また~👋

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