効率的市場仮説とは?【インデックス投資の大前提】
インデックス投資や投資の勉強を始めると、どこかで耳にする“効率的市場仮説"という単語。
今回は、この概念がインデックス投資が"平均的"なリターンを生み出す大前提となる考えである、という事について書いてみたいと思います。
効率的市場仮説をざっくり解説
“効率的市場仮説"という単語でGoogleで検索すると、Wikipedia の以下のような説明が出てきます。
効率的市場仮説 (こうりつてきしじょうかせつ、英: efficient-market hypothesis, EMH) とは、金融経済学において市場は常に完全に情報的に効率的であるとする仮説。ここで言う情報的に効率的であるとは、金融市場における金融商品の価格がその商品の価値を決定づける情報を反映しているという意味である。…
Wikipedia 「効率的市場仮説」のページより
…上記の説明で完全に理解できる方は、このページを閉じて頂いても大丈夫です😅(私は3回読み直してもピンと来ませんでした)
効率的市場仮説とは、ざっくり言うと「高度に発達した株式市場においては、大多数のプレイヤーが少しでも良い銘柄へ投資しようと日夜しのぎを削って投資銘柄を探している環境であるため、お宝銘柄が割安に放置されたままになる事も無ければ、実力以上の株価になっている割高な銘柄がそのまま維持される事も無く、いずれ必ず適正な株価へ修正される」という考え方になります。
この考え方を最初に聞いた際は一見正しそうに感じますが、多くの方は「実際の株価ってそうは動いていないよね🤔」と感じる方が大半だと思います。
その感覚は実際正しくて、株価というものは結局のところ需要と供給で変動していくものであるため、多くの人が「株を買いたい!!」と動いていく時には株価は上がり、逆に多くの人が「株はもういいや…」と手放していく時に株価は下がります。
参考に S&P500 の過去140年間弱の EPS と PER の推移を見てみると、下図のように常に小刻みに大きく上下している事が分かります。
復習すると、EPS と PER は以下を表しています。
・EPS は企業が稼いだ利益を1株当たりに換算したもので、株式の本質的な価値を測る基準となるもの。
・PER は企業が生み出した1株当たりの利益(EPS)に対する倍率であり、1株当たり利益(EPS) を何年で回収できるか、という年数とも解釈できる。
EPS は長期的には右肩上がりですが、数年単位のスパンでは経済状況に応じて激しく上下している事が分かります。
PER は将来の EPS を何年掛けて稼ぐか、という基準である以上、将来の EPS予想が期中決算や期末決算で上下すれば、投資家達はその都度、今の株価が将来の EPS に見合っているかを考えて売り買いをします。
つまり、株価は将来の EPS に対する投資家達の “過大評価"と"過少評価" を繰り返し修正する事で形成されていく、という現象が起こっている事が分かりますね。
一方で、先ほどの PER の図を一歩引いた長期的な目線で見ると、だいたい PER=10~15 当たりを基準線として上下しているように見えてくると思います。(ここ最近は基準線がもっと上がっている気もしますが)
この事から、S&P500の株価指数は長期的にはだいたい PER = 10~15当たりを相場として “過大評価"や"過小評価"に対する修正が行われてきており、すなわち「効率的市場」の作用が働いていると言えます。
インデックス投資が有効である大前提
S&P500のように世界中から広く投資されている対象であれば、「効率的市場」の作用が働くことで常に EPS に対して適切な株価になっている事が分かりました。
この「効率的市場仮説」は、インデックス投資が長期投資に最適という考え方の大前提となっています。
先ほどグラフで示したように、S&P500のEPSの推移は約140年前から様々な要因で激しく上下しながらも、長期的に見れば右肩上がりになっているのが分かります。
インデックス投資は10年~20年と時間をかけて投資していくものなので、EPS が右肩上がりになっているのが第一に重要な条件となります。
そしてもう一つ重要な条件となるのが、EPS に対して適切な評価が常にされている事、言い換えると PER が長期的には一定基準に収束する習性を持っている事(=効率的市場の作用が働いている事)となります。
つまり、PER が長期的に一定基準に収束していくという前提があるからこそ、EPS が上がることで株価が上がり、長期のインデックス投資が報われる結果となるのですね。
誰が効率的市場を作り出しているのか
それでは、この「効率的市場」の作用は一体どうやって生み出されているのでしょうか。
株式市場には様々な機関投資家や個人投資家が関わっていますが、彼らは日々より良い運用成績を求めて、少しでも多くのリターンを上げられる銘柄を探すことに時間と心血を注いでいます。
その結果、将来的に EPS が上がる期待が持てない銘柄の評価は下げられ株が売られ、反対に EPS が上がる期待が高い銘柄の評価は上がり株が買われる事で、時代を超えて一定基準の PER が保たれていくのですね。
つまるところ、少しでも儲けを出そうと短中期で株式トレードをする人達がいるお陰でインデックス投資が成立していると言えます。
個別銘柄にいちいちこだわらないインデックス投資の手法が、個別銘柄にこだわる投資家達によって支えられているのは何とも逆説的で皮肉な感じですが、それだけインデックス投資という手法が良く出来ているという事ですね😅
まとめ
以上、今回はインデックス投資が成立する前提条件である、効率的市場仮説について書いてみました。
インデックス投資は早く始めて時間を味方につけるほど、効率的市場の作用で平均的なリターンを得られる可能性が高くなる、比較的に万人におすすめ出来る手法と言えます。
株価は日々動くため一喜一憂することもあるかと思いますが、それに心惑わされずにインデックス投資へ向き合っていきたいものですね。
それでは、また〜👋